Thoracic surgery
診療科からのお知らせ/コラム
当科ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。 当院では、2020年1月に「呼吸器外科」が開設されました。胸部で心臓と食道以外の疾患を担当します。院内では、呼吸器外科を略して「呼外(こげ)」と呼ばれています。 呼外は、呼吸器内科・放射線科・病理診断科・心臓血管外科・外科と協力しながら、呼吸器疾患の診療(診断から治療まで)を行っています。
呼吸器外科 部長
仲田 庄志
私達は、次のことを心がけています。
まず、患者さんにきちんと話を聞きします。それから丁寧に診察して、検査の結果だけでなく、お一人お一人の体と病気の状況を把握します。
診察、検査の結果から、いつぐらいにどのような治療が望ましいのかをお話しします。しかし、慣れない環境(診察室)で初対面の医師から話を聞くのは、不安が大きいと思います。特に初診の場合は、ご家族の方とともに受診されることとお願いしております。追加の検査や治療などに関してお話しています。
当科の手術は主に胸腔鏡を用いた手術ですが、4Kモニターでより鮮明な画面を見ながら行っています。手術中に3種類の胸腔鏡を使い分け、丁寧な操作を心掛けています。また、1つの傷で行う手術(uniportal VATS)も取り入れ、肺癌の葉切除まで行っています。
お一人お一人の方に対してきちんと診療していくことが基本としております。
肺癌はすべての癌の中で死亡数が第1位の疾患で、呼吸器外科医にとって肺癌は重要な疾患です。医療が進んだ現在でも、肺癌が発見された時にすでに手術ができない状態(ステージ3,4)が約半数の状況です。従って、より早い段階で肺癌または肺癌が疑われる方に対して診断や治療を行うことは、重要な使命と考えております。外科治療の特徴:胸腔鏡を使った手術を行っています。特にUniportal VATS(単孔式胸腔鏡下手術)を積極的に行っています。
地域の医院・病院、当院救急部と連携して、24時間体制で対応しています。 気胸の手術は呼吸器外科の領域では2番目に追い疾患です。しかしながら、やせ身の男性で25歳以下に多い自然気胸は、なぜ発症するのか未だ解明されていません。診療の傍らでさまざま気胸の病態学にも興味を持ち、治療方針も広く検討しています。
外科手術の特徴:独自の手術(マリオネット法)、術後合併症を防ぐ手技(N法による創閉鎖)を駆使して、より早い社会復帰を実現します。
胸部外傷、先天性疾患(肺分画症、気管支閉塞症、肺動静脈瘻など)、縦隔疾患(胸腺腫、胸腺癌、縦隔炎、胚細胞性腫瘍、気管支囊胞、胸腺囊胞、心膜囊胞 など)、胸壁・胸膜疾患(胸膜中皮腫、孤立性線維性腫瘍、胸壁腫瘍、膿胸 など)、手掌多汗症(手汗)などの疾患も診療します。 呼吸器疾患の診断から治療まで広く対応しております。
数日~1週間程度とお答えしています。
もちろん、病気の種類や病状により予定される手術の種類、年齢、普段のお元気さ(体力)、肺活量により、異なります。詳しくは担当医に直接お尋ねください。
治療には、それぞれメリットとデメリットがあります。
呼吸器外科で手術を勧める場合には、手術と手術以外の治療方法、それぞれのメリットとデメリットを説明します。症状があるか症状が出にくい(≒症状がない)かは、病気の性質により異なります。冷静な判断をするためにも、家族の方と一緒に受診されるのが望ましいと思います。
できるだけ痛みが出ないように、いろいろな鎮痛剤を使います。
麻酔科の先生と連携しながら、手術前から術後の疼痛対策を行っています。もちろん、術後には、持続的な点滴鎮痛剤と定期的な鎮痛剤と鎮静剤(ウトウトする薬)を使います。手術翌日からは内服の鎮痛剤も開始します。手術を含めいろいろな工夫で2020年より前と比較して、疼痛の相談は減りました。(胸部の手術では、2ヶ月以上続く難治性疼痛が報告されていますが、当科で行った胸腔鏡手術を受けられた方では、2ヶ月以上鎮痛剤を内服される方はおられません。) 傷が小さい、痛みが少ない手術は大切なことです。しかし、目的とした内容の手術を確実に行うことが、手術を行う上で一番重要と考えています。
患者さんの個人情報が公になることはありません。
いわゆる新薬の開発を行う“治験”とは違います。日常診療ではさまざまな工夫をしながら、負担の少ない治療を行っています。その中で方法Aと方法Bのどちらが優れた方法かを検証する事が、当科で行っている臨床研究の主なスタイルです。このため、匿名化したデータのみを検討するものです。 上述の痛みの少ない術後管理も、数年前からの臨床的見地のたまものです。
翌日の朝から、水分摂取、お薬の内服、食事を開始します。
呼吸器外科の手術では、消化管を扱うことはほとんどありません。従いまして、手術の翌朝から食事を開始します。最初の食事から、完食する必要はありません。鎮痛剤がより効く様に、少量でも食べて消化管を刺激し、吸収促進します。 まれに、食事が全く受け付けない方もおられます。数日後には、ほとんどの方が普通に食事をされています。
(令和5年3月3日更新)
なかた しょうじ
仲田 庄志
呼吸器外科部長
専門分野:呼吸器外科、腫瘍外科(肺癌・肺腫瘍、胸膜中皮腫、縦隔腫瘍)、気胸・嚢胞性肺疾患、外傷外科
【学会専門医・認定医】
【メッセージ】
自信の上には奢り(おごり)があり、謙遜の下には卑屈がある。決して、自信に堕ちるな、謙遜に満ちるな。
(名優:大滝秀治さんのことば)
患者さんやご家族と向き合いながら診療しています。
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