Doctor's Lecture
【総合内科部長:佐藤医師】
一般的に「内科」とは、その医療機関の中で、臓器の名前などがついた内科の領域以外をカバーする診療科です。開業医さんが「内科」をかかげている場合や、医療機関に「内科」しかない場合は、内科の領域をいったん全て診療します。大きな病院になればなるほど、診療科が複数に細分化されて複雑化してきています。たとえば「内科」とつく診療科は、当院でも消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科、神経内科、糖尿病内科・・・など多くがあります。総合病院で「総合内科」と表示されている場合は、「そのほかにある内科以外はすべてみます」という意味合いで設置されています。当院の総合内科の位置づけもまさに内科全般をカバーし、一般的な内科症状から重篤症状まで診療します。
総合内科は、「よくわからない症状」の診察にあたります。全身のあちこちに症状がある、検査では異常ないと言われた、とにかく体調が悪い、薬を出されたけれど良くならなかった、突然浮腫んできた等々。よくわからない症状に悩む患者さんは、まれな病気であったり、いくつかの病気が合併して複雑な病状になっていることが多いため、ひとつの臓器だけに限らず全身をバランスよく診察し、総合的に診断することが必要になります。治療のために特殊な設備や技術が必要な場合には、しかるべき臓器別専門医へ紹介・連携して診療にあたります。
総合内科で扱う疾患の代表として、原因の部位がわからない発熱です。熱はあるけれども特定の部位の痛みがない場合はまず、総合内科を受診します。検査の結果肺炎と診断されれば、その時点で呼吸器内科に変わることもあります。もちろん風邪による症状でも総合内科を受診いただいて問題ありません。軽度な風邪であれば慌てて受診する必要はありません。安静にして栄養、睡眠を充分にとる生活するだけで良くなりますが、風邪の症状がこれまでのものと「何か違う」と感じる場合は、病院を受診したほうが良いといえます。風邪と似たような症状を引き起こす、全く別の病気もあるからです。まさに風邪は万病の元なのです。特に症状が1週間以上長引いたり、治るどころか悪化していると感じる場合は、総合内科を受診してください。
(※現在は発熱があればコロナウイルス感染症の検査を行ってから診察しています。)
そのほかに理由がわからないけれども食事がとれない、元気がないといった場合、診断をつけるために総合内科を受診していただいて結構です。各種臓器に検査で異常を見いだせなくとも、体調不良や様々な症状に悩んでいる人は少なからず存在します。老化による身体機能の低下も、高齢化が進みつつある地域社会においては重要な問題です。高齢者の医学的な特徴として、加齢による生理的な変化があること、複数の慢性疾患にかかっていること、使われる薬剤数が増え多剤併用となっていることなどが挙げられます。こうした人が病気として治療を要する状態なのかそうではないのかを総合的に判断し、優先するべき症候や疾患から治療を行います。
当院には総合内科専門医が多数在籍しております。お気軽に受診していただいて結構ですが、かかりつけ医の先生がいらっしゃる方は診察時間の短縮にもつながりますので、紹介状を持参いただけると助かります。
Copyright © 2021
独立行政法人 労働者健康安全機構
神戸労災病院 ALL Rights Reserved.