Doctor's Lecture
【腎臓内科部長:佐藤医師】
神戸労災病院の腎臓内科は、腎疾患全般に対応する幅広い診療を提供しています。特に、慢性腎臓病(CKD)に対しては、医師、看護師、薬剤師など多職種が連携して生活指導や栄養指導、服薬指導などを行い、患者さんの重症化を防ぐための総合的なアプローチをとっています。また、末期腎不全についても、血液透析や腹膜透析など、患者一人ひとりに適した血液浄化法を実施し、透析導入や合併症の管理を行っています。
腎臓病治療は長らく新しい治療薬が少ない分野でしたが、ここ数年で状況は変わりつつあります。たとえば、SGLT2阻害薬やHIF-PH阻害薬、アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬(ARNi)、GLP-1受容体作動薬などが新たに登場しました。これにより、CKDの治療選択肢が増え、従来は難しかった腎機能の予後改善が期待できるようになっています。
腎不全患者に対しては、腎代替療法選択外来を設けており、患者が治療の特徴を理解したうえで、治療方針を一緒に決定する「Shared Decision Making(患者と医療者による意思決定の共有)」を行っています。患者の背景や生活環境に基づき、各種治療法のメリットとデメリットを詳しく説明することで、個別に最適な選択をサポートしています。
透析患者のシャント管理にも力を入れており、シャント狭窄や閉塞、瘤、感染などの問題に対して専門的な治療を提供しています。少しでも異常を感じた場合は、早めに診察を受けることで、迅速な対応が可能です。
これらの取り組みを通じて、神戸労災病院の腎臓内科は、腎臓病患者のQOL(生活の質)向上を目指し、日々進化する医療を実践しています。
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